上下の歯を強くかみ合わせて、左右にこすり合わせる動きを、食事の時以外で行うことを歯軋りと言い、主に夜就寝中に起こります。もう一つ、就寝中に起こるものに食いしばりがあります。これは、上下の歯を強く噛みしめるだけなのでぎりぎりとした音がせず、気きにくいものです。精神的な緊張がとれずに就寝中の脳の活動性が高いために起こると言われています。眠りが浅いため、朝起きたときに体の疲れが取れず、強く長時間にわたって噛みしめていたために顎の筋肉が疲れて歯も痛み、噛みしめる筋肉が頭蓋骨を引き絞り、変形するために脳に圧力がかかり、頭痛(とくに側頭部)が強いことがあります。さらに耳鳴り、めまい、首、肩、ひいては背中の筋肉の不調和・凝りまでも引き起こし、全身への影響が出てきます。
上顎の骨が頭蓋骨に固定されているのに対して、下顎の骨は右側と左側の多くの筋肉と靭帯で頭蓋骨にぶら下がっているブランコと同じで、顎関節はとてもルーズな関節です。
お口を開閉したり前後・左右にずらしたりできるのはこの左右の筋肉の協調によって下顎の骨が動いているからです。たとえばこの下顎をぶら下げている左右の筋肉のバランスが崩れ、右の筋肉だけが硬く張ってしまうと筋肉が短くなってしまうので、ブランコのつりひもを片側だけ引き上げたのと同じように、下顎全体が右側にずれてしまうので、噛み合わせに不調和が生まれたり、お口を開けるたびに痛んだり、一時的にお口が開かなくなってしまったりします。これらの筋肉の不調和は、噛みしめ、食いしばり、歯ぎしり、チューインガム、噛み癖など筋肉を酷使することによる筋肉疲労とこわばりによって起こり、下顎の位置がずれて、顎関節の位置関係が変化してしまいます。
また、長期間の食いしばりと噛み締めや、上顎と下顎の噛み合わせを支える奥歯を失った状態で放置すると、筋肉によって下顎全体が、頭蓋骨の顎関節に向かって引き上げられ、関節軟骨がすり減ったり、押しつぶされて位置がズレたり、関節の骨が変形がすることもあります。顎関節に障害が出ると、ほとんどの場合完治することがないので、関節障害が出ないようにいたわっていくことが重要です。それにはまず、日中の噛みしめをなくし、痛みを伴う時期は硬いものを避けて、柔らかいものを、痛くないほうだけ使って召し上がってください。それでも治らないようなら夜寝ている間も噛みしめている可能性が高いので、マウスピースをはめて寝ていただきます。大部分はこれで治ってしまいますが捻挫などの靭帯炎と同様、治ったと思って気を抜くと、再発が起きやすいので引き続き注意が必要です。関節軟骨の損傷で動きが悪いときは、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸、グルコサミンなどのサプリメントが、軟骨の修復を速め、膝の関節同様有効だと報告されていますので、お試しください。


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